会員の皆様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
この度、第49回日本職業・環境アレルギー学会総会・学術大会の会長を拝命いたしました。平成30年7月20日(金)、21日(土)の2日間にわたり、横浜シンポジア(山下公園前)にて開催させていただきます。
日本職業・環境アレルギー学会は昭和45年に職業アレルギー研究会として発足、平成5年に日本職業アレルギー学会、同14年より日本職業・環境アレルギー学会と名称を変えながら発展中の学術団体であり、毎年この時期に学術大会を開催しております。
今世紀の世界規模での環境変化は人類が未経験の域にあり、以前に米国副大統領が指摘したように、様々な人工化学物質がデリケートな生物のホルモンシステムに影響を与えていると思われます。一方、生体免疫システムの進化(獲得免疫)もこの急速な環境変化についていけず、自然免疫による対応とのバランスの悪さがアレルギー疾患の増加をもたらしているような印象を受けます。さらに、「職業」は人類が作り出した人工的な環境であり、一部の集団が日常ではあり得ないほどの「特定」物質に長期間にわたり暴露される特殊な状況といえます。本学会は、この一筋縄ではいかない「環境とアレルギー」の問題に真っ向から取り組むために、「環境を知る・学ぶ・制する」のテーマで、有益な情報を交換できる場を提供させていただきたいと考えています。そのための特別講演・教育講演・各種シンポジウム・セミナーなどは我が国のアレルギー医療と研究を牽引されている先生方にご登壇いただくつもりです。もちろん、アレルギー疾患はすべて何らかの形で環境に影響を受けているものでもあり、一般演題の募集につきましては限りなく広い受け皿で応募をお待ち申し上げます。ぜひ多くの先生方に参加いただき、学術大会のみならず山下公園や中華街など周辺の散策、1日目終了後の会員懇親会なども堪能いただきたいと思います。
また、アレルギーは国民の2人に1人という患者数の多い領域でもあり、国家で取り組むべく平成26年にアレルギー疾患対策基本法が成立しました。今後、この法律がアレルギー医療を正しい方向に導いてくれるためには、医療人と国民全員の相互理解が必要と思われます。そこで、本学会の2日目にこのテーマに則った市民フォーラムを開催いたします。興味をお持ちの方は学術大会同様、ぜひ気軽なお気持ちでご参加ください。
第49回日本職業・環境アレルギー学会総会・学術大会
会長 中村 陽一
(横浜市立みなと赤十字病院 アレルギーセンター)